アリとキリギリスと

ある所に働き者のアリと怠け者のキリギリスとてんとう虫がいました。働き者のアリは冬が来るずっと前からせっせと冬支度をしていました。一方怠け者のキリギリスは毎日「冬支度どうしようね〜」という話し合いだけして満足しているのでした。てんとう虫はというと冬は皆で木にまとまって寒さを凌ぐだけなので特に準備はいりません。

さて、今年の冬がもうすぐやってきます。今日から明日にかけて雪が降りそうです。

アリは最後の確認をします。今年はエサ場の情報があやふやで大変でした。しかし前々からエサを探していたのでなんとか冬は無事越せそうです。

一方怠け者のキリギリス。雪が降り出してからエサが足りてないことに気づきました。エサ場の情報はだいたい把握しているので後は運ぶだけです。総動員でエサを運びます。しかし、そこにはエサが少なかったり、そもそもエサ場の情報が正しくなかったりと様々なトラブルが起こりました。中々エサは集まりません。そこでキリギリスはアリとてんとう虫に助けを求めることにしました。

一部のアリは親切にキリギリスのエサ集めを手伝ってやることにしました。また、ずっと同じように遊んでいたてんとう虫も手伝ってくれました。夜を徹しての作業。それでもまだ充分に集まりません。このままでは冬を越せずに死んでしまう。キリギリスは手伝わないアリ達に怒ります。
「なんで手伝わないんだ!エサ場がよくわかっていないてんとう虫さんですら手伝ってくれてるのにエサ場がわかるお前らは全然手伝ってくれない!ふざけるな!」
とてつもない剣幕でキリギリスが怒るのでアリ達は震え上がり、手伝うことにしました。そうして雪のなか皆フラフラになりながらもなんとかエサが集まり皆無事冬を越えられましたとさ。
めでたしめでたし。




この1部始終を見ていた偉い虫ははこう言います。
「キリギリスとてんとう虫はよく頑張ったね。素晴らしい。それに比べてアリは何なんだ」

おしまい。